誰がどうやってコンピュータを創ったのか?
  星野力著
   共立出版・平成7年

 この世界ではあまりにも有名になってしまった本ですが、コンピュータ史を正確に知るうえでは、必読の文献だと思います。いわゆるプログラム内蔵方式に至るまでの、コンピュータの誕生史を整理した本ですが、ストイックなほど厳正な立場で書かれています。コンピュータ発明の当事者が直接書いた文献を第一資料として、著者が調べた事実の部分と、それに対する著者の私見の部分とを、活字体を変えることによって区別しています。そうすることで、データソースを明確にするとともに、史実と解釈が混同しないようにしています。歴史研究としては当然の姿勢とはいえ、それをきっちり貫き通す姿には、頭が下がります。「発明」や「コンピュータ」という言葉の定義をきっちりしているのも、高く評価できる点です。 (カゼの秀丸さん)