A COMPUTER PERSPECTIVE/計算機創造の軌跡
  The office of Charles and Ray Eams著、山本敦子訳、和田英一監訳
   アスキー・平成6年

 The office of Charles and Ray Eams,A COMPUTER PESPECTIVE : Background to the Computer Age,1990.の全訳です。1890年代から1950年代までの、コンピュータおよび計算機の歴史をフォローした資料写真集です。簡潔な解説文もついています。もともとは、チャールズ・イームズとレイ・イームズ夫妻の工業デザイン工房が、IBMのために企画した展示を、図録としてまとめたものです。この展示は、1971年2月17日から1975年中頃まで、マジソン大通りの角にあるIBMの世界貿易館内共同展示センターで開催されました。
 『目で見るデジタル計算の道具史』と同工異曲の本ですが、写真は『目で見る』よりもはるかに鮮明で、構成・レイアウトも工夫されています。展示会の雰囲気を伝えることに、努力したようです。コンピュータ史のビジュアル本のなかでは、最高傑作といえるでしょう。収録写真もきわめてマニアックで、たとえば、アラン・チューリングの「計算可能数」論文(万能チューリングマシンが掲載された論文)の雑誌初出写真などが掲載されています。一見すると美術指向の強い本ですが、調べものには、一番役に立つ本です。横長の変形本なので、書店では置きにくいのでしょう。都会の大型書店以外では、めったに見かけることがありません。 (カゼの秀丸さん)